メキシコペソ円のスワップポイントは、1万通貨あたり1日15円ほどです。10万通貨なら150円前後になります。この1日分は持っていた長さではなく、区切りをまたいだかどうかで決まります。

この記事では、受け取りがいくらになるのかと、年利にすると何%になるのかを先に考えます。そのあとで、ペソが強くなったことがこの数字にどう表れているのかを見ていきます。

1万通貨で1日15円、10万通貨で150円

おおむね15円前後です。10万通貨あたりなら150円前後という水準が、2026年8月時点の目安になります。

前後と書いているのは、スワップの額がFX会社ごとに違い、同じ会社でも日によって動くからです。同じ日の中でも、買いで受け取る額と売りで払う額には別の値が置かれます。仕組みの方は通貨が変わっても変わらないので、そこはスワップポイントとは何かにまとめてあります。

ペソ円は1,000通貨から持てる会社が多い通貨でもあります。その単位なら、建玉が約9,400円で、受け取りは1日1.5円ほどという計算になります。少額で始めやすいと言われるのは、この部分も関係しています。

ここで確認していくのは、その15円という数字が、高いのか低いのかです。

ランド円とだけは、そのまま比べられる

高金利通貨の受け取りは、1万通貨あたりで並べても比較になりません。通貨ごとにレートが違うので、同じ1万通貨でも持っている金額が違うからです。リラ円で確かめた通りです(トルコリラ円のスワップポイント)。

ところが、ペソ円とランド円は事情が違います。

通貨ペア政策金利レート1万通貨の建玉1万通貨あたりの受け取り
メキシコペソ円6.50%9.4円前後約9.4万円1日15円ほど
南アフリカランド円7.00%9.9円前後約9.9万円1日13〜20円程度
トルコリラ円37%3.32円前後約3.3万円1日20〜24円程度
※政策金利とレートは2026年8月時点。レートは当サイトの週次レポート(8月24日〜28日の週)の水準です。スワップの額はFX会社によって差があり、同じ会社でも日によって変わります。

1万通貨の建玉が9.4万円と9.9万円で、ほぼ同じ。政策金利も6.50%と7.00%で、ほぼ同じです。揃える手間をかけなくても、この二つはそのまま比べられます。

そして並べると、受け取りも同じ水準です。金利と建てる為に必要な額も近いのですから、そうなります。リラ円は、建玉が3.3万円と3分の1しかありません。

ただし、この並びは金利側で作られたものではありません。ペソ円が9.4円で、ランド円が9.9円という、レートが同水準で推移していることが要因です。どちらかのレートが動けば、そのまま比べられる状態は崩れます。

年利にすると何%か

1日15円が続いたとすると、1万通貨あたりの年間の受け取りは約5,475円になります。建玉が約9.4万円ですから、年利にすると5.8%ほどです。

ランド円を同じ数え方で出すと5〜7%程度でした。政策金利は6.50%と7.00%ですから、どちらも金利そのものよりは薄くなります。

リラ円は同じ数え方で26%ほどです。政策金利37%に対して、こちらはもっと大きく削られています。名目の金利が高いほど、受け取りとの差も開いています。

その目減りが何でできているのかは、ペソ円のスワップは、なぜ“安定”して見えるのかで詳しく見ています。

強くなった通貨で積むということ

ここまでは、今のレートを前提にした数字です。ペソ円のレートは、この数年で大きく動きました。

2020年3月に4.2円、2026年8月は9.4円前後。倍以上になっています。

4.2円は急落した局面の値で、2016年ごろは5円から9円の間で動いていました。その幅と比べても、今の9.4円は上の方にあります。

同じ100万円を置くとして、4.2円なら約23万通貨、9.4円なら約10万通貨です。持てる枚数は半分以下になります。

スワップは枚数に付きます。1万通貨で15円という数え方をしている以上、枚数が減れば受け取りも減ります。政策金利が当時より高くても、置く資金あたりで見れば増えていません。

もう一つ、この倍増はペソだけで作られたものではありません。ペソ円は、ペソの対ドルとドル円の二つが掛かって出てくる値段です。この数年で動いたのは、ペソが対ドルで強くなった分と、円が弱くなった分の両方になります。建てられる枚数が減った理由は、ペソの側だけにあるわけではありません。

すでに持っている人にとって、この値上がりは含み益として出ています。そちらをどう扱うかはペソ円の含み益は、どこで降りるのかにあります。

その受け取りは、いつまで同じか

メキシコの政策金利は6.50%です。Banxicoは利下げを重ねて6月にこの水準へ下げ、8月6日の会合では全会一致で据え置きました。

スワップの原資は日本との金利差ですから、政策金利が下がれば原資も薄くなります。1日15円ほどという数字は、固定されたものではありません。次の決定は9月24日の会合で示されます。

Banxicoが何を見て決めているのかは、メキシコペソの政策金利の推移にまとめました。

受け取りが消えるとしたら、どこからか

10万通貨で持つ場合、1年の受け取りは約5万5千円です。同じ10万通貨で、レートが1円下がれば10万円です。1年かけて受け取る額を、1円の下げが上回ります。その何倍もの幅が、2008年以降だけで何度も起きています(メキシコペソ円暴落の歴史)。

ペソの場合、その1円がどこから来るのかがはっきりしています。資源でも国内の物価でもなく、アメリカです。関税やUSMCAの見直しが、ペソを動かす一番大きな材料になります(ペソを動かす「対米リスク」)。

1日15円は、何枚に付いているのか

メキシコペソ円のスワップは、1万通貨あたりで1日15円ほど。年利にすると5.8%ほどです。ランド円とはほぼ同じ水準で、リラ円とは建玉から違います。3通貨の性格がどこで分かれるのかはランド・ペソ・リラを並べた記事にあります。

ペソで積むのは、すでに強くなった通貨で積むということでもあります。同じ資金で持てる枚数は、レートが上がるほど減っていきます。

受け取りの額を見るときは、その額がいくらの建玉に付いている額なのかを、一緒に確かめることも重要です。