トルコリラ円のスワップポイントは、1万通貨あたり1日20円から24円ほどです。政策金利37%という数字から想像する額とは、少し離れているかもしれません。

この記事では、受け取りがいくらになるのかを先に置いて、そのあとで、なぜ金利ほどには差がつかないのかを考えます。

1万通貨で、1日いくらか

おおむね20円から24円の間です。2026年1月の月間平均で1日24円だった会社があり、8月に入ってからは20円前後という値も出ています。

幅で書いているのは、ぼかしているからではありません。スワップの額はFX会社ごとに違い、同じ会社でも日によって変わります。買いと売りには別々の値が置かれ、週の途中で3日分がまとまる日もあります。それがどの曜日なのかは、水曜に3日分がまとまる仕組みで扱っています。受け取りの仕組みそのものは通貨が変わっても同じなので、そこはスワップポイントとは何かにまとめてあります。

ここで確かめておきたいのは、その20円台という数字が、高いのか低いのかです。

金利は5倍でも、受け取りは同じ帯にいる

比べる相手を、日本の個人投資家に一番なじみのある高金利通貨で考えます。南アフリカランド円です。

ランド円のスワップは、10万通貨あたり1日130円から200円程度が目安です。1万通貨に直せば、13円から20円になります。

トルコの政策金利は37%、南アフリカは7.00%です。5倍以上の開きがあります。それなのに、1万通貨あたりで受け取る額は、20円台と10円台後半で差がほとんどありません。

金利がリラの方に大きく傾いているのに、手元に入る額はそこまで離れていない。二つのスワップを同じ土俵に置いて眺めても、理由は出てきません(3通貨がどこで違うかはランド・ペソ・リラを並べた記事にあります)。

差を消しているのは、レートの側

その答えは、「1万通貨」という言い方が、通貨ごとに違う金額を指しているからです。

通貨ペア政策金利レート1万通貨の建玉1万通貨あたりの受け取り
トルコリラ円37%3.32円前後約3.3万円1日20〜24円程度
南アフリカランド円7.00%9.9円前後約9.9万円1日13〜20円程度
※政策金利とレートは2026年8月時点。レートは当サイトの週次レポート(8月24日〜28日の週)の水準です。スワップの額はFX会社によって差があり、同じ会社でも日によって変わります。

同じ1万通貨でも、リラ円で持っている金額はランド円のおよそ3分の1です。少ない元手で建てられる代わりに、乗ってくる金利も、その少ない金額に対して乗ります。

だから「1万通貨で何円」という数え方は、レートの差を考慮しないと正しく比較することができません。レートの低い通貨ほど、この数え方では受け取りが小さく見えます。

そのレート自体も、リラだけで決まっているわけではありません。リラ円は、リラの対ドルとドル円の二つが掛かって出てくる値段です。円が動けば、受け取りが同じでも口座の評価は変わります(クロス円とは何か)。

比べるなら、通貨の数ではなく、買う金額を揃えます。同じ10万円分を建てるとすると、リラ円は約3万通貨、ランド円は約1万通貨です。1日の受け取りはリラ円が60〜72円、ランド円が13〜20円。ここで初めて、金利差通りの差が出てきます。

1年で見るといくらか、年利では何%か

1日24円が続いたとすると、1万通貨あたりの年間の受け取りは約8,760円になります。建玉が約3.3万円ですから、建てた金額に対する年利にすると26%ほどです。

ランド円も同じ数え方で出せます。1万通貨の建玉が約9.9万円で、1日13〜20円なら1年で4,700〜7,300円ほど。年利にすると5〜7%程度です。

リラ円が37%に対して26%、ランド円が7.00%に対して5〜7%。どちらも政策金利そのものより薄くなりますが、政策金利が高いリラ円の方が高いままです。1万通貨で並べたときに消えていた差は、建てた金額で揃えると政策金利の順番通りに出てきます。

ただし、年で見るときは引かれる側も一緒に動きます。受け取ったスワップは、その年の所得として数えられ、税率は20.315%です。8,760円がそのまま手元に残る形ではありません。

しかも、まだ決済していない含み損は、この計算に入りません。口座の評価がマイナスでも、受け取ったスワップの分だけ納税が出る年があります。手取りがどこで変わるのかはスワップポイントと税金にまとめました。

そしてもう一つ、「1日24円が続いたとすると」という前提が、リラでは置きにくいところです。

その受け取りは、いつまで同じか

トルコの政策金利は、2024年3月に50%へ達したあと、2026年1月には37%になりました。スワップの原資は日本との金利差なので、原資の厚み自体がこの間に薄くなっています。

冒頭の数字にも、それが出ています。1月の24円と、8月の20円前後。半年ほどで、1万通貨あたり1日4円分が動いた形です。9月10日の会合では据え置きが決まり、次の決定は10月22日に示されます。

その間、レートの方が持ち直したわけでもありません。リラ円は2007年に1リラ99円台で、2026年はまだ3円台です。受け取りが薄くなっていく時期と、レートが下げてきた時期は重なっています。

受け取りを待つことが出口になるのかは、トルコリラに売り時はあるのかで別に扱いました。ここでは、受け取る額が固定ではないことだけを押さえておけます。

売って持つと、符号が変わる

ここまでは買って持つ側の話です。リラ円を売って持つと、同じ金利差が支払いに変わります。しかも受け取り側の額より、支払い側の額の方が大きく置かれるのが通常です。

払う側にまわったときの金利差は、年36%です。トルコの37%と日本の1.00%の差が、そのまま出ていきます。19年で対円の価値を9割以上落としてきた通貨を、毎年その率を払いながら待つ形になります。

下げてきた通貨なので売り持ちを考える方もいますが、その場合は毎日出ていく額を先に確かめられます。マイナススワップとは何かに、払う側から見た数字を置いてあります。

「1万通貨で何円」ではなく、「いくら建てて何円」で見る

トルコリラ円のスワップは、1万通貨あたりで見れば1日20円台です。金利が5倍以上違うランド円と、ほとんど同じ金額に見えます。

そう見えるのは、リラ円の1万通貨が約3.3万円で、ランド円の1万通貨が約9.9万円だからでした。通貨の数を揃えても、建てた金額は揃っていません。

スワップの厚みを通貨どうしで比べたくなったときは、まず自分がいくら建てるのかを決めて、その額で何通貨になるのかを出せます。順番を入れ替えるだけで、37%と7.00%という差が受け取りのどこに現れているのかを確かめられます。その37%が何でできているのかは、金利37%の正体で詳しく見ています。